「いらっしゃーい!」
「おーはよーっ」

…ギャル…。

私は一瞬、こわばったが
すぐに笑顔をつくって頭を下げた。


黒板の前に立つ。


梅沢が私の紹介を始めた。


「はい、今日からこのクラスに転校してきた小川理恵さん。彼女はねー、北海道から来たんだ。北海道は、いいよねえ。自然が豊かで。ここらへんはねディズニーランドとか、近いから小川さんも行くことになるだろうね!でも僕なんかここに住んでるけどもう5年くらいディズニーランドには行ってないなあ!そろそろ グーフィーに会いたいなあ。グーフィーの物真似は昔から先生の十八番で評判いいんだよ。ドナルドの真似する人が多いけど先生は敢えてグーフィーでいく。」


「きいてねーよ」

さっきのギャルが梅沢を笑い飛ばした。


「あれ、お前5年前に先生がディズニーランド行った時、トゥーンタウンに居た3匹の子豚の中の一匹じゃないか?」


「ちげーよ!てか、つまんねえからダル絡みすんなよ」


皆笑ってる。

3匹の子豚…
この美人ギャルには子豚要素はない。

どっちかといえば子豚は私だ。

梅沢、やめてくれ。

私は少し劣等感にかられながら
皆に合わせて笑った。


自己紹介、自己紹介を…しなくちゃ。


梅沢がまだなんか喋っている。
クラスは談笑ムードだが、頭の中が自己紹介で一杯な私の耳には、全てノイズに聞こえていた。

自己紹介のタイミングを待ちながら、ぼんやりと 笑いで打ち解けたクラスを
見回す。


ぼんやりと…見えてたクラスの景色の中

私は ひとつだけ はっきりと
輝く 不思議で大きなオーラを感じた。