「じゃあ小川さんからも一言、お願いします」


ハッと私は視線を前に戻した。

「えー…小川理恵です。…こっちに引っ越してきたばかりでまだ慣れないんですけど、早く皆さんと打ち解けて仲良くなりたいと思っています。これから、よろしくお願いします。」


「よろしくおねがいしまーす!」

「よろしくねー!」

皆明るく返事を返してくれた。

なんか、ここのクラスの人達は
梅沢が言う通り本当にいい人ばかりかもしれない。


そして私は

おそるおそる

さっきの少年の方を
見てみた。



目が、合った。




すると彼は 口元だけ
にこりと笑わせ、

私に軽く会釈した。

社交辞令に慣れたような大人びた顔つき。


私の心臓が急にバクバクと
高鳴った。



違う、これは決して
一目惚れした訳じゃなく
緊張感が膨張しているだけだ。



私は、そんなに軽くない。