ずいっ

と、私と大雅さんの間に誰かが入ってきた。




「何やってんだよ大雅。 コイツは俺の女だぞ?」




…その人はいつもと変わらない顔で空を見上げて…、


「探すのに苦労した」


…そう呟いて、そっと強く私の肩を抱いた。




「なんだよ龍輝、良いところだったのに」

「んなもん知るか。
つーかお前、ここは予定の場所とちげーだろ」

「あはは、この混み様で文句言うなよ。
座れただけでもラッキーじゃん」


……え?


「あ、の…どういうこと…?」


どうして龍輝さんがここに?

どうして大雅さんは、龍輝さんが来ても驚かない…と言うか、当たり前のように喋ってるの??


まったく意味がわからなくて、頭に はてなマーク をたくさん浮かべながら大雅さんを見つめると…、




「ごめんね、実は全部仕組んでた」




…にっこりと笑って、そして立ち上がる。


「俺と朔ちゃんからのサプライズ。
せっかくの花火大会なんだから、二人で楽しみな?」

「えっ…」

「じゃ、またねー」


そう言った大雅さんは、ひらひらと手を振ってあっという間に行ってしまった。




「…大雅さんと朔也さんからの、サプライズ…?」


そう聞いてもやっぱり意味がわからなくて、隣に居る龍輝さんをただただ見つめる。




「携帯の電源切ってたこと、優と健吾がすぐ居なくなったこと、
朔也が離れて大雅がお前をここに連れてきたこと、全部仕組んでた」

「え…?」

「まぁ、予定とはだいぶ違う場所になっちまったし、この混雑で携帯も繋がんねーからかなり焦ったけどな」