「ほんとはさ、昨日帰ってきて、そんで必要な荷物をまとめたらそのまますぐ行くつもりだったんだ」
あ…。
私のことがあったから…、だから龍輝さんは、今ここに…。
「…ごめんなさい、私、全然何も知らなくて…龍輝さんの予定グチャグチャにしちゃった…」
「いや、連絡しなかった俺が悪い。
大雅がマンションの前に居なかったら俺、全然何も知らないまま向こうに戻ってたと思う。
電源切ってたこと、マジで忘れてたし」
苦笑気味に笑い、それから「さてと、」と立ち上がる。
「そろそろ行くよ。
あんまり遅くなると、ウルサイからさ」
「あっ…はい」
「向こうの家に居る時はあんまり連絡出来ないけど、でも今度はちゃんと電源入れとく。
だから、もし何かあったら連絡してな?」
「はい」
「あぁそれと、俺が居ない間のここの掃除任せていい?
大雅にもここのカギ渡したからさ、アイツ一人で来て飲み散らかしそう」
あー…大雅さんならありそう…。
いつも食べっぱなし飲みっぱなしだもんなぁ…。
「わかりました、しっかり管理しときます」
「ん、ありがと」
龍輝さんの笑顔に私も笑みを返し、それからそっと、キスをする。
「じゃあ、またな」
そう言って、龍輝さんは家族の元へと行ってしまった。