「あぁ、夏休みの間は向こうに帰ろうと思う」
「…っ……」
「まぁ、ここは俺の場所だから完全に出たりはしないけど。
でも、あの家を…あの人たちを無下にすることは出来ないからさ。
だから、“とりあえず”ってことで話してたんだ」
…そっか…。
お家に、戻るんだ…。
「まぁアレだ、高校卒業したらますます帰らなくなるだろうから、今のうちに親孝行しとこうかなーと思ってな」
「…はい」
…うん。
家族と一緒に過ごすのは良いことだよ。
たとえ血が繋がってなくても…それでも家族だもん。
家族みんなで夏を過ごすなんて、凄く素敵なことだ。
「じゃあ、いっぱいいっぱい、家族で楽しんでくださいね」
「まぁ、子守りさせられて終わりだろうけどな」
「あはは」
子守りかぁ。
龍輝さん、きっと良いお兄さんなんだろうなぁ。
「…いいなぁ、私も子供欲しいなぁ」
「作ろうか?」
「いいですねー。って、えぇ!? 何言ってるんですか!?」
「あはは、お前が欲しいとか言うからじゃん」
う…それは、確かにその通り…。
うぅ…恥ずかしい…何であんなこと言っちゃったんだろう…。
「…さっきの言葉は、忘れてください…」
「ん、わかった」
…って、すっごいニコニコ顔…。
はぁ…。
この人、絶対忘れてくれないんだろうなぁ…。
「…えっと、それでいつからお家に?」
「ん、今日このあと」
「え…!?」
そんなに早く…!?