…無理。


その言葉で頭の中は真っ白になり、目の前は真っ黒になる。


無理…ムリ…むり…。


私と龍輝さんは、無理…。

もう私たちは、一緒に居られない…。






「離れるのなんて、無理だよな」


………。

…え?




「お前と離れるなんて想像出来ねーし、想像したくねーし。
俺たち絶対、離れられないよなぁ」

「む、無理って、そっち…!?」

「あ?他になんかある?」


「む、無理って言葉は普通、“もう一緒に居るのは無理”とか、そっちで使いますよ!?」

「んー、そっか?」

「そうですよ…!!」

「ふぅーん」


ふぅーん…って、全然興味無さそうに言ってるし…。


「…龍輝さんって、変わってますよね…」

「ん、よく言われる」


あはは、と笑って空を見上げて、「暑いなぁ」と汗を拭う龍輝さん。

…天然だなぁ。


……でも、よかった。




「…私、龍輝さんに嫌われたんだと思いました」

「なんで?」

「…だって、涼太くんとやり直してみたらとか言うんですもん。
それに、最近連絡が取れなかったのは私と話したくないからなのかな、って」


そう言った私に、龍輝さんは小さく笑った。