さっきの、って…涼太くんのことだよね。
「えっと…、沢良木 涼太くん、です」
「え、沢良木？…マジで？」
「へ？あ、はい」
え、なに、どうしたの？
「龍輝さん？」
「………」
涼太くんの名前を聞いた瞬間から、龍輝さんは眉を寄せて何かを考えている。
そして…、私の顔をジッと見た後にため息をつく。
「…いや、なんでもない。
珍しい名前だな、と思っただけ」
「…本当に、それだけ？」
「おー」
……本当に、それだけなのかな？
何かを思い出したような、辛そうな苦しそうな顔してたように見えた。
だから…、
「…あの、龍輝さん。
何かあるなら、言ってください」
…だから、龍輝さんを見てそう聞く。
でも龍輝さんは、さっきと同じようにため息をつき…、ビックリするくらい冷たい目で私を見た。
「…別に、なんもねぇって」
その言葉も、凄く凄く冷たい…。
