「彼が、“彼氏でもない人に俺たちのことどうこう言われたくない”とか言うから。
どうこうの前にさ、自分だって彼氏じゃないだろって思ったら、つい、おかしくて。
だから、それで少しね」
あ、そっか…。
朔也さん、だから笑ってたんだ。
凄いなぁ…あんな一瞬でそんなこと思ってたんだ。
私はハラハラドキドキ…と言うかオロオロしちゃって、そんなことこれっぽっちも頭に無かった。
「朔ちゃん、あのままだったら絶対殴られてたよね」
楽しそうに笑う大雅さん。
朔也さんはそれに小さな笑みを返すだけだった。
……。
その後、私たちは何事も無かったかのように食事し、そして食べ終わった後にまた館内を見て回る。
そこで「少し二人で回っていい?」と優ちゃんと健吾さんが離れていき、
大雅さんは「俺も朔ちゃんとデートするから」と、嫌そうな顔の朔也さんを連れてどこかへ行ってしまった。
だから私と龍輝さんも二人になって、ゆっくりのんびり中を見ていく。
「なぁ。さっきのアイツ、名前なんつーの?」
ふと、大きな水槽を見上げながら龍輝さんが言う。