[莉央side]

「あんたにあげるチョコなんてないわよッ!!」


そう言い放った凛李愛は自分の席についてしまった。

…は?

意味わかんねぇ。

俺彼氏なのに?

チョコくれない訳?

おかしくね?



それから凛李愛はことごとく俺を避け、昼休みも沢村を連れてどこかに行ってしまった。

俺は俺で昼休みは女子に呼び出されてなかなか休めなかった。



そして気づいた頃にはもう放課後。

さすがにこのまま大人しく帰るって訳にはいかねぇよな…


「凛李愛…!」

「…ッ!?離してよ!!」


俺は沢村と帰ろうとする凛李愛の腕を掴んだ。


「お前、このまま何もしないで帰る訳?」

「…そうよ!だから離して」

「なんで怒ってんだよ…チョコ、あるんだろ?ちゃんと食うから出せよ」

「…なんなのよ」

「は?」

「ほんっとむかつく!あんたなんか大っ嫌い!!」

「あっ、おい…!」


凛李愛は俺の腕を振り払って行ってしまった。

なんなんだ…

俺、なんかしたか…?


「篠宮、ほんとにわかってないの?」

「…あ?」


今まで黙っていた沢村が口を開いた。


「勉強はできて、なんでこんな簡単なことがわかんないんだよ…」

「…どういう意味だよ?」

「凛李愛がいるのにどうして他の奴からのチョコ受け取ってんだよ!ばかかよ!?」

「は?」

「今まで篠宮には凛李愛を任せられるって黙って見てたけど、凛李愛のこと傷つけたら私が許さないから」


そう言い残して沢村は凛李愛の後を追った。