校門を出て一緒に帰るあたしたち。
「見て!篠宮くんと未月さん一緒に帰ってる!」
「やっぱり噂はほんとだったんだね…」
「羨ましい〜」
学園の近くには下校中の生徒がちらほらいて、その中でも一際目立つあたしたちは注目の的。
「篠宮くんの家って逆方向だよね?」
「彼女の家まで送ってくれるなんて優しい〜!」
彼氏が彼女の家まで送るのって普通じゃないの!?
あたし、周りと感覚がズレてるのかしら…
「……」
「………」
あれ…?
手、繋がないの…?
恋人同士は手を繋ぐものでしょ?
「…寒い」
「冬だからな」
そうじゃなくて!!!
「手が寒いのよ!!」
「手?…仕方ねぇな……」
めんどくさそうにしながらもポケットから手を出した篠宮 莉央。
やった!!
手、繋げる…!!!
「ほら」
「…え?」
「それやるよ」
そう言ってあたしの手に置かれたのは…
「ホッカイロ…」
「それでちょっとはあったかくなったろ?」
「……」
「…凛李愛?」
違う…
あたしは篠宮 莉央と普通の恋人らしいことがしたいだけなのに…
「ねぇ…あたしたちって恋人同士、なのよね…?」
「まぁ、そうなんじゃねぇの?」
「だったら…」
「だったら?」
「だったら…!」
「何?いちゃつきたいの?」
「…ッ////」
耳元で囁かれて全身がゾワッとする。
「図星?」
「ちがッ…!!」
「ほら」
「…////」
繋がれた右手。
左手にはホッカイロ。
「満足ですか?」
意地悪な顔で聞いてくる篠宮 莉央。
「…ま、まぁまぁね///」
「こんなんじゃ足りない?」
「え…!?ちょ、ちょっと!!」
迫ってきた篠宮 莉央を押し返す。
「…なんだよ」
「なんだよじゃないわよ!こんなとこでキ、キスなんてできないわ…////」
周りの視線感じるし…
「ここじゃなかったらいいんだな」
不敵に笑う篠宮 莉央。
「なッ!?そういうことじゃない!!」
「ふはっ、ほら行くぞ」
これよ…
あたし今、恋人同士らしいことしてる…