「琉生…今日は何曜日?」

「金曜日だけど…」

「もう金曜日…はぁ……」


とうとうこの1週間、1回も一緒に帰ることができなかった。

それに3学期が始まってから恋人らしいことを何もしていない。


これじゃ付き合う前と何も変わりないじゃない…!!


「琉生、あたし今日の放課後自分から誘ってみるわ!!」

「わかった!頑張って」


今までは篠宮 莉央の周りをウロウロするだけで1回も自分から誘ったことはなかった。

これじゃいつまでたっても一緒に帰れない。

だから今日こそはあたしから誘って一緒に帰るのよ!!



そう意気込んでやってきた放課後…


「じゃ、頑張るんだよ凛李愛!」

「ありがと琉生!」


琉生を見送り、早速篠宮 莉央の元へ向かう。


「ね、ねぇ…」

「あ?何?」

「あの、今日…」


頑張るのよあたし!

凛李愛様の誘いを断る奴なんてこの世にいないんだから!!


「今日、一緒に…帰ってくれない、かしら…?」


やっとのことで振り絞った声。

篠宮 莉央に届いたかしら…?


「莉央〜帰るぞ〜」


チッ…

いいタイミングで入ってきた奏汰。

思わず舌打ちしちゃったじゃない、もう!


「あー、今日こいつと帰るわ」

「ぇ…!」

「あー、おっけ!じゃあな〜」


そう言って教室を出て行った奏汰。


「いいの!?」

「…逆に断ってよかったの?」

「だっ、だめよッ!!凛李愛様の言うことは絶対なんだから!!!」

「ふっ…はいはい。ほら行くぞ」

「う、うん…!」


やった…!

やっと篠宮 莉央と一緒に帰れる…!!