ピンポーン



「はいはーい…げっ」

「なんだよその顔」

「な、なんであんた1人なのよ!?」

「お前ん家行くのにいちいち待ち合わせなんてしねぇよ」


…それもそうね。


1番最初に来たのは篠宮 莉央だった。


「…とりあえずあがって」

「あぁ」



篠宮 莉央とリビングに2人っきり。

変に緊張しちゃう…


「……」

「………」

「あ、あたし、紅茶いれてくる!」


沈黙に耐え切れずあたしはキッチンへと向かった。



「…はぁ」


紅茶をいれて一息つく。

落ち着いて、あたし。

平常心、平常心、平常心…


「…よし!」


意気込んで行ったのにあたしってばどうしてこうなの…


「あっっつーーーい!!!!」


リビングに入ろうとしたところでバランスを崩し、いれたての紅茶を左足の太ももにぶちまけてしまった。


「おまっ、何やってんだよ!」


篠宮 莉央がすぐに駆け寄ってきてくれた、かと思ったら…


「は!?ちょ、な、」


あろうことか膝丈のスカートを思いっきりたくし上げられた。

いやいやいやいや、あと数ミリで見えてしまうんだけども…!?


「ちょっと!やめなさいよ変態!」

「お前っ、痕になったらどうすんだよ!?」

「…っ!?」


いつにもなく真剣な表情の篠宮 莉央に言葉が詰まる。


「きゃっ!?」


ぐわんっと視界が反転する。


「風呂場どこ?」

「ろ、廊下の突き当たり左…」


あたし、また篠宮 莉央にお姫様抱っこされてる…


されるがままにお風呂場に連れてこられ、シャワーで足に水をかけられる。

あ、気持ちいい、かも…

ジンジンと熱を持っていたのがだんだんと治ってくるのがわかる。


しばらくたってから篠宮 莉央がシャワーの水を止めた。


「…これくらいなら痕にはならなさそうだな」

「もう痛くないわ」


はぁ…とため息をついた篠宮 莉央はあたしをお風呂の淵に座らせた。

そしてあたしの足の間にしゃがみ込み、そのまま俯いて動かなくなった。


「……」

「……っ///」


この状況は…なんというか…は、恥ずかしすぎる…///


「ち、ちょっと?篠宮 莉央?」

「……」

「ねぇってば…!」

「……かった」

「え?」

「よかった…お前の身体に痕が残らなくて…」

「…っ!」


なんで…

なんでそんなこと言うのよ…

そんなこと言われたら…

期待、しちゃうじゃない…


「ふゃっ!?」


突然太ももに触れられて変な声が出てしまった。


「お前、危なっかしいんだよ…もっと自分の身体大事にしろよ…」


そう言って太ももに口をつける篠宮 莉央。


「ぁ…///」


やだ…

なんかゾクゾクする…


「…ふっ、顔真っ赤」

「ひゃぁ!?な、何…?…ッ!?」


口をつけたかと思うと舌を這わしだした篠宮 莉央。


「いゃ、ちょっと、くすぐった…ぁ///」


そのままどんどん上に這っていく舌。


「あっ、だめ…も、ぁ…んっ///」

「何?感じてんの?」

「なっ!?ちがっ…!ふぁっ!?」


いや、まずいって!!

それ以上は見えちゃうから!!!


「お前…なんで拒まねぇの?」

「ぇ…?」


舌を這わすのをやめた篠宮 莉央が真剣な表情であたしを見つめる。


「最近お前変じゃね?前のお前ならこの状況、絶対拒んでただろ」


そんな…

だって…


「……ないじゃない…」

「は?」

「拒めるわけないじゃない!!だってあたし、あんたのこと…」



ピンポーン



あたしの言葉を遮って鳴ったインターホン。


「カナたちか…俺出てくるからお前は着替えてこいよ」


そう言ってお風呂場から出て行ってしまった篠宮 莉央。


「…あたし、今……」


なんて言おうとしたの…?


カァっと顔が熱くなるのがわかる。


「もう…顔の方が火傷してしまうわ…」