[凛李愛 side]

夏休みが終わって今日から2学期。


「凛李愛おはよー!」

「おはよー凛李愛ちゃん!」

「おは…ぅぐッ」

「今日もめちゃくちゃ可愛い私の凛李愛♪」

「琉生…苦しい…暑い…」


夏休みが終わっても今はまだ夏。

抱きしめられると暑苦しくて死にそうだってのに琉生は1度抱きつくとなかなか離してくれない。


「なぁ…」


あたしが苦しんでいるところを見ていた篠宮 莉央が口を開いた。


「なんでいっつもそいつに抱きつく訳?」

「可愛くて仕方ないから。あと柔らかくて気持ちいいからかな〜」


柔らかい!?


「あぁ、まぁ確かに…」


そう言ってあたしをじっと見る。


「な、何よ…」


篠宮 莉央は椅子から立ち上がってとんでもないことを口にした。


「沢村、ちょっとそれ貸して」

「は!?」

「はいよ〜、んじゃパ〜ス」

「ぅわッ!?」



ぽすッ…



「ナイスパース」


今…軽く投げられた気が…


そしてあたしは…


「…ッ!!」


篠宮 莉央の腕の中。


"ナイスパース"じゃないから!

凛李愛様をボール扱い…(怒)



ぎゅッ…



「あー、これこれ、この感触…」

「最高でしょ♪」

「ッ///」


もう覚えてしまった篠宮 莉央の香水の香りにに包まれる。


ヤバい…


全身が熱くなってきた…


心臓がものすごい早さで脈打ってる…


なんか…

クラクラする…


「離して…」


出した声は小さすぎて奴の耳には届いていない。


あたし…

ほんとに離してほしいの…?


離してほしかったらもっと大きな声、出るよね…


「離してよ…」


…嘘。


離さないで。


離してほしくなんかない。



このまま…


ずっとこうしていたい…



時間が…


止まってしまえばいいのに…



ぎゅッ…



無意識に篠宮 莉央のワイシャツを握る。


「…凛李愛?」


いつもより少しだけ優しい声色に見上げると視線が合う。





ドキンッ…




















…好き