「「「キャーーーッ!!!!」」」
突然響いた悲鳴…いや、歓声。
「何…?今の声…」
数m先に女子の大群。
あの子たち…何に群がってるの?
…気になる!
近づいて覗いてみるけど…
よく見えないわね…
だんだんと群れの中に入っていくあたし。
「わ、あ、ちょっと…」
そうしている間にもみくちゃにされて…
いつの間にか群れの中心に来てしまった。
「…ッ!」
その瞬間、中心にいた人物が目の前に現れた。
うわ…
男子でこんなに顔が整ってる人初めて見た…
「…未月 凛李愛?」
綺麗な形をした唇がゆっくりと動いてあたしの名前を呼んだ。
「え…なんであたしのこと知って…」
「だってあんた、かなり有名だし?」
あ、そっか!
あたしのことを知らない奴なんかいるはずなかった。
だってあたしは未月財閥長女、未月 凛李愛様なんだから!
…ん?
"あんた"…?
「ちょっと!誰に向かって"あんた"とか言っちゃってる訳!?」
ありえない…
このあたしに向かって"あんた"って…!
「は?あんたは"あんた"だろ?」
「…〜ッ!」
こいつ…
さっき一瞬でも見とれるんじゃなかった!
「あたしは未月財閥の長女、未月 凛李愛様よ!?」
「…知ってるけど?」
はぁぁぁ!?
知っててその態度!?
こいつ…
まじムカつく。
ぐいッ…
「ッ!?」
あたしは奴のネクタイを掴んで…
「あんた、名前なんて言うの?あたしのこと"あんた"呼ばわりしたの、後悔させてやる!」
ふんッ!
ビビった?
ちょっと顔がいいからって調子に乗らないでよね!
「…性格最悪だな……まぁいいや」
…は?
次の瞬間、奴の顔が近づいてきて…
近づいて…きて…?
「え?ちょっと!?」
ちゅっ…
「篠宮 莉央。覚えといて、お嬢様」
そう奴は…篠宮 莉央は耳元で囁き校舎に向かって歩き出した。
周りの女子がざわつき出す。
…?
あたし、今何された?
"ちゅっ"って…
唇に…
「ッ!!!」
あたしのファーストキスーーー!!!!