そして着いた待ち合わせ場所。

あたしが1番だったみたい。


このあたしを待たせるなんて…

みんないい度胸してんじゃない。


とは思ったものの今の時刻は18時45分。

集合時間は19時。


…早く来すぎた。


時計を気にしながら1人で待っていると…


「君1人?」

「すっげー可愛いじゃん!俺らと一緒に遊ぼーよ♪」


チャラチャラしたのが2人、話しかけてきた。


「このあたしが可愛いのは当然のことよ!」

「…は?」

「なんだこいつ…まぁいいや、顔がよけりゃ。つーことで俺らと遊ばない?」

「誰があんたたちと遊ぶかっつーの!あたしにナンパなんて100年早いのよ!!」

「言ってくれるねぇ〜じゃあ遊ぶのナシでいきなり本番いっちゃう?」

「あぁ、とっとと襲っちまおうぜ?」


は?


「お前、ちょっとこっち来いよ」


そう言って1人の男が腕を掴んできた。


「ッ!?嫌!!ちょっと!離しなさいよ!!」

「誰が離すかよ」


もう1人の男にも腕を掴まれて…


なんなのこいつら…

まじキモい…


「離して!あたしに触んなバカ!!」

「こいつ…早く襲われたいみてぇだな…」


そんな訳ないでしょ!!!


って…

あれ?

突然あたしの腕を掴んでいた奴の手が緩んで…

…?


「あんたたち、何してんの?」


そんな声が上から聞こえて…


あ…

この声って…


篠宮 莉央!


なんでここに!?

って、待ち合わせ場所ここだから来るのが当たり前ね…


篠宮 莉央が1人の男の腕を掴んでいた。


「は?なんだよ、テメー」

「あんたたちこそ何?俺のになんか用?」

「…んだよ、彼氏かよ…」

「行こーぜ、彼氏持ちに興味ねぇ」


チャラチャラした2人は去っていった。


「お前、何ナンパされてんだよ…」

「ッ!あたしが可愛いからに決まってんでしょ!ってか来るの遅い!!」

「お前が早ぇだけだろ。つーか助けてやったのにお礼なし?」

「…〜ッ!"俺の"ってあたしはあんたのじゃない!!」

「あぁでも言わねぇとあいつら引かねぇじゃん」

「…ッ」

「…ごめん。もっと早く助けれなくて」

「ちょっと!何すんのよ!?」


篠宮 莉央の腕が伸びてきて…


「素直に怖かったって言えばいいのに…」

「…ッ」


ぎゅっと抱きしめられる。


怖かった…

強がってたけど…

ほんとはめちゃくちゃ怖かったんだから…!


「もう泣くなよ…」

「あんたのせいよ、バカ…」

「俺のせいかよ…」


あたしは篠宮 莉央の腕の中で泣いてしまった。


大嫌いな、アイツの腕の中で…


「意外と泣き虫なんだな」


そう言いながら涙を指で拭ってくれた。


「だから…あんたのせいだってば…」

「はっ…まだそれ言う?」