[莉央side]

担任のおかげで手伝うことになった凛李愛。

この時ばかりは担任に感謝だな。


渋々隣に座った凛李愛。


…そこは普通に隣に座るのかよ。

なんの抵抗もなく隣に座ったってことは俺も少しは受け入れられてるって思っていいんだろうか。


「これ全部ホチキスで留めるの?学年全員分?てか学年全員で何人いるのよ?」

「200人くらいじゃねぇの?」

「はー…終わりが見えないわ…」


凛李愛はブツブツ言いながらも手を動かし始めた。



カシャン…


カシャン…



静かな室内にホチキスの音だけが響く。


なんだかんだ文句を言いながらもちゃんとやるんだな…



「あー、手いってぇ…ちょっと休憩」

「はぁ!?まだ半分もやってないじゃない根性ないわねー」

「うるせぇな…ん?お前、髪にホチキスの針ついてるぞ」

「え!?」


凛李愛の髪に絡まった針を取った。


「あ、ありがと…」


赤い顔で俯きがちにそんなこと言うから…


「ぇッ…?」


手を髪から頬に移動させて…



むにっ



「にゃ、にゃにしゅんのよ…!」

「はは…たこみてぇ」



ぷちゅっ



そんな効果音が似合うキスをした。


唇を離すとたこみたいな凛李愛が固まっていた。


…おもしろ。


「はぁ、一気に終わらすか」


俺は作業を再開した。


「………」


凛李愛はまだ固まったままぼーっとしてる。


「…凛李愛さん?手、動かしてほしいんですけど…」

「え?あ、あぁ…そうね…」


凛李愛はぼーっとしたまま作業を再開した。


大丈夫かこいつ?

まぁ俺のせいなんだけど。



カシャン…


カシャン…



「……」

「………」


また沈黙。



「ね、ねぇ…」


沈黙を破ったのは凛李愛だった。


「なんで…キス、するの…?」


…なんでって言われても……


「…別に。特に理由ないけど」

「そ、そう…よね…」

「……」

「………」

「…可愛かったから」

「ふぇ!?」

「もう言わない。ちゃっちゃと終わらせんぞ」

「う、うん…」



それから黙々と作業をしてなんとか終わらせた頃には日が落ちていた。


「んー!つっかれたー!!げ、外真っ暗!」


時計を見るともうすぐ20時になろうとしていた。


「…送ってく」

「え、いいわよ別に…」

「いいから」


お嬢様を1人で夜道歩かせる訳にはいかねぇし…