最近は、
ガチで勉強ついていけない。
こんなに勉強してんのに…


図書館に入ると、
定位置のイスに座る。
そして、参考書を借りる。

でも、今日は
本棚にいつもの参考書がない。


「…?」

本棚の前で首を傾げていると、

「もしかして、これ?」

と、潜めかした声で
知らない男の人が
話しかけてきた。




157センチのあたしより
20センチくらいは余裕に高い。黒縁メガネに、軽いくせ毛。

優しくて柔らかい雰囲気に
包まれてしまいそうだった。



「さっき、少し見たけど、
この本頭に入らないから
違う参考書の方がいいよ。」

「…あ、
ありがとうございますっ!」


思わず、
図書館に不適切なボリュームで
声をあげてしまった。

周囲の人の視線が痛い…
ああ、またドジっちゃった。



「すいません…」

と、彼に謝ると、


「大丈夫だよ」

ふわりと笑った。
大人っぽい印象とは裏腹に
両頬のえくぼが可愛い。


あれ?
この制服、同じ緑ノ牧だ!



「「高校…?」」


2人の声が微かに重なった。



こんなカッコイイ男の子、
同じ学校にいたなんて…