翔堂院れら
(ショウドウインって読む)



完全に名前負けした
超鈍臭い女の子。
取り柄は元気と明るさだけ。



「翔堂院!」
「は、はいっ!!」


「1限目から寝るな!」
「は、はい…。」


1時限目
国語古典の授業。

先生に叱られたら、
周りはクスッと笑う。
思わず、あたしも苦笑いする。

「翔堂院、笑うな!」
「は、はいっ!」




お姉ちゃんに憧れて入った、
県内トップの名門高校。

お姉ちゃんは、
余裕綽々と入学して
充実した日々を送り、
在学中は主席をキープしたまま
緑ノ牧高校を卒業した。

今は医者として、
お父さんの仕事を
引き継ごうとしている。

ザ・大学病院前の娘
って感じ。
大学病院の娘の象徴
と言うべき!

いや、理想の女性とも言える。

まず、超絶美人だし、
運動も勉強もできる。
その上、育ちも良いお嬢様で
常識も礼儀も整っている。

リアル才色兼備ってやつだ。




でもでも、
その血を引いてるとは
思えないぐらい、
最悪最低のあたし。

もちろん、男っ気もない…
自慢じゃないけど、今まで
彼氏なんかできた事ない!
16年間一度も!すごくね?



そんなあたしが、
猛勉強してやっとの思いで
合格した緑ノ牧高校。
今は、学校のおちこぼれだ。
それどころじゃない。
家族の名誉の恥だ。

次女でも、あたしは、
大学病院の娘だから…。
もっとしっかりしなくちゃ。






こんな事を考えて、
授業に集中できずにいる。


あーあ、シンデレラって
本当にいるのかな?