「輝の事、幸せにできない子だったら奪っちゃおうと思って」



「え」



「甘かったかなぁ…奪えるわけない。だから、ちゃんとフられて諦める」




そう言った葉月先輩は、今まで見た中でいちばん綺麗だった。




「じゃあお幸せにね…唯衣ちゃん」



葉月先輩を、好きだなぁって思った。

あたしが渡瀬先輩だったら、自分より葉月先輩を選ぶと思った。



「ありがとうございます、新奈先輩!」



驚いたように振り返った新奈先輩は、優しく笑った。


バラの花が、咲いたみたいに。