せめて。

…せめて渡瀬先輩の彼女です、って、胸を張って言える人になりたい。



「あたしね…輝が好きなんだ」




葉月先輩の綺麗で澄んだ声は、あたしの中にストンと落ちる。



驚く事もなく、自分でもびっくりするくらい冷静だった。



「そう、ですか」



「告白…しようと思うの」



「そ…ですか」



そうですか、しか言ってないけど。


あたしの少ないボキャブラリーでは、他に言葉は見つからなかった。



「…止めないの?」


その言葉に、零れそうな涙を抑えるために、わざとニコッと笑って上を向く。




「そんな権利…ないですから!」