「………………ぅっ」

ぎゅ、と目を閉じ、
その目を開く。

なんだろう。この感覚。

なんだか体の随所が痛い。
けどどこかふわふわしている気もする。

「祐大……?
お前………何やってんだよ……?」

「…………竜……、
なんで、お前が、……俺と…?」

ふと、気づく。

自分が見ている景色は、

片目だけの景色だ、と。

す、と
その見えない片目に竜の手が伸びる。

「むちゃくちゃなんだよ。阿呆か?
少し間違えば盲目だったんだぞ。」

そう言って、竜が撫でたのは、頭から左目に巻きつく包帯。
辛うじて失明はしていないようだ。

「俺……俺、どうしたの…?」

「…………覚えてねぇのかよ。
あんな大事…。」

(大事?
俺と浅野になんかあったのか…?)

眉を寄せると、竜が小さく溜め息をついて説明してくれた。

なんでも、あの後、
俺は浅野への怒りを罵声へと変え、
散々に怒り狂ったと言う。
すると、言われるままだった浅野が逆ギレ。
そこにいた数人と共に俺に殴り掛かったとの事だ。

「どーりで………
体が、痛ぇ……」

「はぁ……。
全く。
ここは病院だから、安心しろ。」

「えっ、病院…?!
……………それってさ、
俺も手ぇ出したのかな…?」


「それくらい覚えておけよ。無責任な。
大丈夫だ。浅野達は全くの無傷だったから、祐大はなんもしてない。」

くしゃくしゃと俺の髪を乱すと、
「よくやったな、新垣のために。」
と、笑みをこぼし、告げられた。

(あーあ……バレてんだ……)

心でそう諦めて、
「うん」と笑い返した。