「たまにはイイねぇ!!
可愛い女の子連れてファミレスも。」

「オジサンかよ、お前。
お前だって一応女だろ。」

「一応ってなんだよ。失敬だな。」

草津くんと翠の、楽しそうな会話を聞いて、祐大くんがケラケラと笑う。

と、突然、草津くんが私に疑問を投げかけた。

「新垣、こういうの初めてだろ。」

「え…?あ…うん。」

「やっぱり。なんか初々しいもんな。」

「七虹はなにやっても初々しいんだよ。」

フォローなのかなんなのか分からない翠の言葉に眉をしかめた。

それじゃあ、まるで自分が、
何も知らない子供みたいじゃないか、と。

それでもそこは否定できないので、
黙ってうつむいた。
と。


「で、何?
2人っていつから付き合ってんの?」


……………………………

……………………

草津くんの、KY(空気読めない)とも言える一言により、場の空気は一変した。

ボッと頬が熱を持つ。

「ちょ、お前……はぁ~…
もう、本当バカだよ…」

呆れたように、どこか控えめに
翠が言った。

「あ、や、イイんだけど…?
 ……つ、付き合っては、いねぇし…?」

「あぁ、そうなの。
じゃあそう言えばイイじゃねぇか。
なんで俺が馬鹿扱いされるんだ……」

「本当、乙女心を分からないよな、竜は。
アタシと言い、七虹と言い、
振り回しすぎ!」

「お、俺がいつ………」

「あっ、いいのっ!
気にしないで…?」

「もうっ、七虹本当やさしー♪」

ふと、祐大くんにされた告白を思い出す。

(やっぱ………こういう場合の対応、
慣れないな…。いつもお兄ちゃんにされるのに。)



さほど理解していない乙女心とやらと葛藤する翠と七虹。

理解できる日が来るか、
来ないかは、別として。