「はあぁ…」
入るなり大袈裟なため息をついて、
ベッドに顔を埋めた。
慣れないブレザーのボタンがお腹に当たって痛い。
渋々立ち上がり、着替えを始める。
『よかったら、俺と付き合ってくれない?
だいぶ前から好きだったんだよね…。』
さっきの言葉が、脳内でリピートされた。
ボッと頬が熱を持ち出したので、それを必死にかき消した。
(か、考えちゃダメだ…っ!!)
そう思うのに、一度思い出してしまうと
頭にはその文字しか浮かばなくなってしまう。
(…なんで、私?)
それは、ついさっき、学校で起こった。
私、――新垣七虹(アラガキ ナナコ)――は、4月に高校生になったばかりの
そこら辺に居そうな、女子高生。
特に目立つわけでなく、
だからと言って、いじめられっ子なわけでもないし、
暗くて不気味な生徒でもない。
ただただ、普通の生徒。
なのに、
今日の帰り、私は人生初の
異性からの告白を受けた。
それは、
「実は僕宇宙人なんだ」
とかそういう告白じゃなくて
「好きです」
って言われる告白を、受けた。
しかも、だ。
その相手が、隣のクラスのB組のモテ男子
浅野くんだったことに驚いた。
中学は一緒だったけど、特に面識があったわけでもない。
なのに、急に…。
本当に、本当に、信じられなくて、
戸惑っていたら、バスの時刻が過ぎてしまっていた…。