『ふーん。なるほどな。
そりゃあ、お前が怒るのも無理ねぇよ。
アイツ、中学ん時からそういうヤツだったからなあ。』
「……七虹が可愛そうで、我慢できなかった。」
時々相槌を打ちながら聞いてくれる竜に、素直なアタシの気持ちを言った。
それでも竜は嫌味一つ言わず、最後まで聞いてくれた。
『新垣?
新垣って、そんな良いヤツなの?』
「良いヤツだよ!!すっげー可愛いの。ふわふわしてて、女の子らしいし。
竜が見たら、惚れるかもしれないなぁ。」
『惚れ…って…
俺は惚れねぇ自信がある。』
「いや、惚れるって。結構可愛いってみんな言ってたし。」
そんな他愛もない会話の、たった一言で、
アタシの心臓はあり得ないほど脈打った。
『いやぁ、俺は翠にしか惚れらんないわ。
お前に敵う奴いないって。』
「はぁ?
ちょっと、本気にしちゃうだろ。やめろよー」
『別に冗談なんか言ってねぇよ。マジ、マジ。
あ。そーだ!!お前、今日の宿題なんだった?
数学の課題もうやったか?』
「……っ
や、やったよ。」
『うっわーヤベェ!!やってねぇ!!俺もう眠いー』
「早いって……」
ドクンドクン、とどこか煩いくらいの心臓の音。
竜に、たったあの一言だけ、
それに、冗談半分で言われたというのに、
(なんで、こんなに…)
まるで乙女みたいで、少し嫌。
だけど、
竜に言われたのが、嬉しかった。