「いろんな人に出会って……キュンッてしたら恋なんて始まってるんですよ」

「キュン?」

「ほら、カフェの店員さんとか……かっこいい人多くないですか? あそこにいるサラリーマンとか……」


そう言われて周りを見渡すと、普段はあまり気付かなかったが格好いい人がたくさんいた。

長身で、小顔で。今時な雰囲気の人や、優しげな人……。


「このカフェ、結構男の人いたんだ」

「高村さん、なんていう感想……今まで男性の数にも気付いてなかったなんて」


後輩は呆れたように項垂れてしまった。どうやら求めていた感想ではなかったらしい。

それでもへこたれずに顔を上げ、私に尋ねてきた。


「で、どう思いました?」

「かっこいいなぁ、とは思った」

「キュンッてしません?」

「……するけど。一応」


自分でも意外だった。男の人を見て、キュンと胸が高鳴る感覚を持っていたなんて。

最近テレビも見なくなってしまったから、カッコいい人を見ていなかった。これは久々の感覚だ。