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「リサ、落ち着いた?」
キスの後も、カズの愛に触れたせいか涙が止まらなかった。
やっと泣きやんだ私にカズが甘いカフェオレを淹れてくれた。
「ありがとう」
ふわりとミルクの香りが鼻をくすぐる。
もっとお金持ちの人ならワインとか出てくるのかな。お洒落な人ならハーブティーとか?
……でも。
「あ。この芸人、面白いよな」
「うん、私も好き」
2DKの部屋で、身体がピッタリと触れ合うくらいのソファに並んで座って。テレビを見ながらカフェオレを飲む。
「はは、おっかしー」
「ふふっ」
同じものを見て、同じ所で笑う。
床に投げ出した足の爪先は、いつの間にか触れ合ってて。寄せ合ってた肩に、いつの間にかもたれかかって。
「……あぁー……なんか、すごく幸せ」
超平凡。
だけど、
すごく幸せ。
「今頃気付いたのかよ」
カズに小突かれたけど、それもすごく幸せ。
「来週あたり……結婚式場、見に行く?」
「えっ」
「結婚しようか」
「カズ……!」
頷く私に、カズがキスを落とした。
それは……神様に永遠を誓うキスのようで。
あぁ、これから先。
もっともっと、最高にハッピーな予感がする――。
【END】