平凡じゃない非凡な生活に夢を馳せながら聞いていると……。


「リサちゃん、次は何飲む?」


グラスが空になっていることに気付き、ドリンクメニューを差し出してくれた。


セレブなのに優しいって、イイ!

……って思いながら向かいに座った男の人を見ると。


クチャクチャと食べ物を噛んでいた。


「……」


音も聞こえるし、口の中も見えてるし。
唖然として一瞬固まってしまう。


「えっと……じゃ、ふぁ、ファジーネーブル……」


いやいや、食べてても私を気遣ってくれてるわけだから。話も楽しいし、仕事頑張ってるみたいだし……。



……でも、

でもでもでも!



なんか、ヤだ。



別の人に狙いを定めようと周りを見渡した。

だけど、女の子の話を聞かずひたすら自慢話をしている人や、鼻の下を伸ばしている人、この場を楽しもうとしない人……。



……なんか、ヤだ。




この場所にいる自分……



なんかヤだ。