「A会社で……給与システム」

「え……A会社?」


坂井くんが首筋まで真っ赤にしながら答えてくれた会社は、元彼がいる会社だった。


あー……なんかもう、せっかく可愛いと思えるようになってきたのに。完全に無理になってきた。



「……どう、しました?」


固まってしまった私を不思議そうに坂井くんが覗き込む。

逸らされてた顔がやっとこちらを向いたというのに、思うようにちゃんと見ることができない。


「ううん、別に。SEもプレゼンとかで社交性いるからね、頑張ってね」

「……はい」


気を取り直して、明るい声を出した。彼の空になっていたグラスにビールを注ぐ。