顔も長い前髪で隠れているけど、良く見るとそんなに悪くない、むしろタイプ。


「あの、坂井くん……って、なんの仕事してるの?」


自己紹介はし合ったものの、興味が無さ過ぎてあまり覚えてなかった。名前も恐る恐る言ってみたが、言い直されなかったので間違いではなかったのだろう。


「SE……そっちと、一緒」


私が尋ねているのに、私とは逆方向へ顔が向いていく。そんなに顔を逸らされては、ただでさえ小さい声なのに聞き取れなくなってしまう。


「へぇ、SEなんだ。今なにか作ってる? どこの会社?」


言葉を聞きとるために身体を寄せると、坂井くんは身体をビクリと跳ねあがらせた。

よほど女性慣れしていないらしい。さっきから愛想がなかったのも、照れからだったのかも。

坂井くんの反応が楽しくて、また身体を寄せてみた。