あー、帰りたいな。
そう思っても、ハリきっていた後輩に申し訳なくて帰ることが出来ない。
しかも他二人女子は、それなりにオタク以外の男子といい感じになりつつある。雰囲気を壊すわけにはいかないし。
やっぱり、若いと格好よく見えるのかな。
先に帰ることを諦め、ビールを喉へ流し込む。すると、ついには後輩も彼氏とイチャつきだしてしまった。
ため息を吐き、残されているオタクを見ると一人静かにお酒を飲んでいた。
仕方ない。私もオタクと一緒に飲んで食べて帰ってやる。
「ほら、もっと飲んでー」
オタクの隣に座り、グラスにビールを注いであげる。割と飲んでいるようだが、顔色は変わっておらず思ったより強いらしい。
どうせお礼なんて言わないんだろうな、なんて思っていると。
「……どうも」
ぽそり、と呟かれたお礼。期待していなかったことに驚いてしまう。
私がグラスを持ったまま固まっていると、そのグラスに無言でビールを注ぎ返してくれた。
「あ、ありがと」
「いえ」
素面だったオタクの顔が見る見る紅潮していく。フイと顔を逸らされたけど、耳が赤くなっているので隠してもよくわかる。
……なにこれ、ちょっと可愛い。