「あ、来た来た! お疲れ様ー」
「お待たせ」
後輩が出迎えるように席を立ち、個室に男の人を招き入れる。
入って来たのは黒いスーツに身を纏い、短い黒髪に黒縁眼鏡をかけた真面目そうな男の人。
どうやらこの人が後輩の彼氏らしい。
いかにも新入社員という井出達に若干新鮮さを感じつつも、全員こんなタイプだったらどうしようと少し不安になる。
真面目は悪くないが、ちょっと若過ぎて頼り無い。遊びを知らなさ過ぎて、つまらなくもなりそう。
「……って、自分はどうなんだか」
「高村さん、何か言いました?」
「あ、ううん。こっちの話!」
思わず独り言を言ってしまい、慌てて口を塞いだ。
「あとのメンバーは大学の時の同級生なんだけど……こっちこっち」
後輩の彼が手招きをして、残りの男性陣を呼び寄せる。
「――っ」
不安的中。というか、少し外れて、でも的中。
「こんばんはー」
「お疲れ様ぁ。おぉー、すげぇ美人揃い」
「……」
皆、真面目そうではあるが、彼氏と同じタイプ……というわけではなさそう。
それぞれ順に部屋へ入って来て腰をおろす。