退院して、
日常が始まった。


学校に、
真海は、いなかった。


それどころか…
関西弁のおじさんの塾すら、
なかった。


―――長い、長い…


夢を、見ていた。



そう。
現実に、戻っただけ。


何も、失ってなんかいない。


真海は…


いないのだから。



きっと、
私を目覚めさせてくれただけだ。
いつまでも
夢の中にいる私を、
現実に返してくれた。


それだけ…。