――――海。



そこは、
白い小さな花が舞い散る
一面の海だった。



「…海に、雪が…」



「舞雪」


声が聞こえた。


「舞い降りる、雪…。
張り詰めたように、
冷たい…。」


柔らかな、アルト。


マサミは、
私の隣に並んでいた。


「左腕の、傷口は…
白い雪を染めてしまう。
赤く、黒く…。
誰からも届かない場所で。」



私の、傷口…。



――涙が溢れた。



「ここに連れて来たのは、見てほしかったからだ。
雪が、真っ白なまま
広い海に舞い降りていく。」



マサミの瞳が、
私をとらえた。



「舞雪…
僕は、白いままの君を、必ず受け止める。
怖がらなくていい…」



「マ…サミ…」



「真実の、海だ。
僕は君という真実を受け止める、
―――真海。」



真実の、海…
マサミ、だった。


彼の冷たい指が、
私の涙をぬぐった。



広い、海のように…



真海の腕が、
私を包み込んだ。