黙ったまま、
急行に乗り込む。



3つ目の駅で、
降りた。



…何か、
懐かしいような匂い。


マサミがゆっくり歩きだす。
斜め後ろを
ついていく。



私は、彼の
背中を見ていた。


息遣いが聞こえる。
一定のリズムが
静まり返る街に、
響くようだ。


彼の髪は、雫を作る。
青い傘も、雫を作る。
雪は、降り止まない。



「…舞雪」



名前…
柔らかなアルトが、
私を、初めて
呼んだ。