――――え…



静けさの中に響く、
柔らかなアルト。



――雪、が…?



マサミの声…

すぐに染み込んでいく、
さらさらの
水のような…



「雪が…」



もう一度繰り返す。


はっきり聞こえた。
マサミの声だ。



「雪が、降ったら…」



「…?」
声が、出ない。
柔らかなアルトが、
私のどこか、奥の…
誰にも、私にさえも触れることができないところを、
わしづかみにしている。



「もし雪が降ったら、
窓の外を見てほしい」



「約束してほしい。」



「学校にいても、家にいても。必ず、窓の外を」



約束―――



久しぶりだ。
約束、なんて…



私が、
私なんかが…