…?

止まってる…?



背中が、止まっている。



――振り返る。
寂しげな瞳が、私をとらえる。


吸い込まれそうだ。


ゆっくりと、一歩ずつ。
近付いてみる。



睫毛まで、見える距離。

私の瞳は、本当に
マサミをとらえた。



「…怖がらなくていいよ」


初めて聞いた。
柔らかなアルト。
マサミの声だ。


「怖がらなくていい。
…並んで、歩けばいい」



そう言って、前を向いた。