「俺、遠慮しねぇって言ったよな?」

「それは関係ないでしょ…?」

「あるから。俺は何があっても杏を離すつもりはねぇよ」




 杏だってそんな男のところ戻りたくねぇだろう?




 俺だってそんな危険なところに戻すつもりもねぇよ。





「杏、俺が絶対守るから」

「…琉……」



 相変わらず流れている杏の涙が俺の服にしみわたって行く。




「約束する」





 落ち着かせようと背中を黙って撫でているといつの間にか寝て行ってしまった杏。





 そっとベッドに寝かせて、ごちゃごちゃな頭を整理する。






 少し見えている杏の背中の傷は痛々しい。





 小さな杏がどうしてこんなに大きな荷物背負わなきゃいけねぇの?