「…杏ッ」


 ちょうどマンションに入って行くところで追いついた。



「琉…」

「とりあえず部屋に戻れ。俺も行っていいか?」

「うん…」




 スーパーに行くまでの杏とは比べ物にならないくらい落ち込んでる。





 部屋に入っていつもの場所に座ると杏も隣に座った。





「なぁ…」

「わかってる…そろそろ話さなきゃいけないんだろうね」




 苦笑いで眉を下げる杏。




 話してくれるのか…?





「琉は本当に信頼してるから、大丈夫だよね」

「…ん」




 こっちを見た杏は険しい顔で話し始めた。





「私、実は家出してきたの」

「は?」

「あの人……透って人は私の父」




 そこまで言った杏は息詰まった。