(…お、みおっ!)

「…お、みおっ!」
「んっ…。お、お母さん?」
「何寝ぼけてるの?もう朝よ」

ふと時計を見ると、もう8時を回っていた。

「んぇっ!お、お母さん、もう8時じゃん!!!」
「8時に起こしてあげただけありがたいと思いなさい。」
「んもう!!!!!」

もう最悪!完全遅刻じゃん。お母さんのばかぁぁぁ!

「お母さん、朝ごはんいらないからぁ!」
「えっ!もう作ちゃったよぉ!今日は学校やすんじゃえば?」
「いいの!いってきます!」

お母さんの返事も聞かずに家を飛び出した。
なんで自分がこんなに急いでるのか自分でも分からない。
だって学校なんてお母さんの言うとおり休めばいいのに、と思う。
でも夢で会った男の子が学校にいるかもしれないという思いがあるからだと思う。

~キーんコーンカーンコーン~

「やばっ。きゃぁぁぁ!」

鐘が鳴ったから急ごうと廊下を走ろうとした瞬間…

どうしよぉ。このままじゃ転んじゃう。
しかし、からだには何も痛みはなく、やわらかい感触が体全体にあった。
たぶん、誰かに抱きしめられている。
(誰だろう?)と思って顔をあげるとそこには…

夢で会った人が意地悪そうに笑って私を抱きしめていた。

「あ、あ、あなたは…」
「大丈夫?朝岡澪ちゃん?ってか…違和感とかない?」
「え?」

助けてくれた人が下のほうを見たので、私もつられて下を見ると…。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

本日2回目の悲鳴。そのわけは…助けてくれた人が私の胸を触っていた…。

「いやぁっ」

その手と握られていた手を振り解こうとしたが、それはそいつによって阻止された。
そして、ものすごい力で引き寄せられ、唇を奪われた。

「んんっ!」

やっと唇が開放されたころには私はふらふらで立つことすらできずにいた。
意識がもうろうとしている。

「おっと…大丈夫?おまえって意外と美人だな。唇もやわらかいし、胸も…」

また胸を触られた。
抵抗しようと思ったけれど、立つことができていない私に男のこいつに、
抵抗なんてできなかった。

「胸って何サイズ?」
「……、あなたになんて教えない。」
「教えてくれたら、教室まで送ってあげる。」
「…いい。自分でいける。」
「へぇ…。立ててもないのに…。」

私は自分が抵抗できないことが悔しかった。でも教室に1人でいけない。よしっ!

「…、F」
「へぇ…。そういえば自己紹介まだだったな。俺は2年A組の佐々木祐樹。
 おまえはたしか…、」
「朝岡澪。いちお助けてくれてありがとう。」
「へぇ。素直でかわいいじゃん。………俺、お前のこと気に入ったわ。」
「私は気に入ってない…。教室じゃなくて保健室でお願いします。」
「よっしゃぁ…!約束だもんな。」

そういって祐樹は私のことをだっこした。