『志保、ごめんねッ

お先です。』

閉館の30分前になり、志保に声を
かけた。

「はーい♪

気をつけてよ~!!」


これが、思わぬ偶然を呼ぶことに
なるなんてこの時は思いもしなかった。



―――――……


私の家は図書館からは割と近くに
あり、車椅子で10分程度で着く。


だから、何も心配なんて
していなかった。
原田さんがついに行動に移すなんて…


さっきから背中に視線を感じる。
怖くて後ろを振り向くことができない。


でも、このままでは家に帰るに
帰れない…


そう思い、さりげなく後ろに向いた。


…………ッ!!!!!!


―――原田さん…




そこには、いるはずのない
原田さんがこっちを見てニヤニヤ
していた。



……ッ怖い怖い怖い怖い


ダメだ、震えがとまらない。



せめて、20メートル先にある
自販機まで急ごう。
遠目からだけど、誰かがいるのが
わかる。


さすがの原田さんでも、人の前で
手を出しては来ないだろう。