ッビク
『ッあの、原田さん?』
「ハァッハァッ、ハァッハァッ
フゥ~」
男は息を切らして膝に手をおいて
いる。大分急いで来たみたいだ。
『あの…』
「ッすいません、これ」
そう言って男は借りていた本を
カウンターに置いた。
『はい、確かに。』
私は本を確認して男を見た。
…………?
『あの、もう結構ですよ?』
男は一向に帰る素振りを見せない。
それどころか、とんでもないことを
言い出した。
「ッ俺!!
……あなたが好きです。」
『…は?』
「好きです、ずっと見てました!!
図書館に来るのも、何て言うか
あなたを見る口実っていうか…
ッいや、本も好きなんだけど…」
びっくりした……
自慢じゃないけど、車椅子の人から
告白されたことは何度かある。
でも、健常者からの告白は
生まれて初めてだったから。