お前が好きなのは俺だろ?



未来は大きな瞳を、さらに開かせた。



「え、えっと……本当に一ノ宮くん?」



「当たり前だろ」



「ふ、双子……?」



双子って……



「やっぱりお前ってバカ?」




なんでそんな奇妙な発想になるんだよ。



「お前、今日告白した相手すら忘れたのか?」



「っ!!本物!?」



もうこいつのバカさに、何も言えない。



本物ってなんだよ……



「えっ、じゃ、じゃあなんでっ!?えっ!?」



パニックになったのか、頭を押さえて左右に振る未来。




「なんでも何も、お前が見ている俺が本当の俺」



「本当の……一ノ宮くん……?」






「そう。学校では作ってんの」



「作ってる……」



パニックの後はショックでも受けたか?



俺の言葉をただ繰り返す。




「じゃ、じゃあ!あたしの王子様は!?」



王子様……




「そんなのいるわけないだろ。まだそんなものを夢見てるのかよ」



つい、ふっ……と笑ってしまった。




「っ!!」



明らかにショックを隠し切れていない未来。




「お、王子様じゃなかった……」



「少なからず俺ではないな。」



「そ、そんな……」



つーかさっきから王子様王子様うるさいんだよ。






いつもそうだ。



そうやって俺を勝手にイメージで作りやがって……



幻滅して……




結局こいつも同じだ。



そこらの女と変わらない。





気にくわない……



勝手なイメージで俺を見てるヤツも。



何も知らないクセに、俺に取り入ってこようとするヤツも。




そして……





俺の本当の姿を知って、幻滅するこいつも……







「そういうことで、今日からよろしくな。未来」






心底嫌いだ―……







「お前は素直に頷いとけばいいんだよ」



「……へ?」



最初は聞き間違いかと思った。



「つーか、俺がお前なんかの兄貴になってやるって言ってんだから、さっさと頷けよ」



「っ!!」




でも、明らかにここにいるのはあたしと一ノ宮君2人だけで……



「え、えっと……本当に一ノ宮君?」



こんな風に確認をする始末。



「当たり前だろ」



「ふ、双子……?」



そっくりなもう1人の一ノ宮君とか?



「やっぱりお前ってバカ?」



……へ?



「お前、今日告白した相手すら忘れたのか?」



今日……



告白っ!!






「っ!!本物!?」



あたしが告白したことを知っているなんて、やっぱりこの人は正真正銘の一ノ宮君!?




「えっ、じゃ、じゃあなんでっ!?えっ!?」



な、なにか変なモノを食べちゃった!?



もしかして、体調が悪くておかしくなっているのかも!!



でも、そんなあたしの期待はあっさりと消えた。



「なんでも何も、お前が見ている俺が本当の俺」



「本当の……一ノ宮君……?」



「そう。学校では作ってんの」



「作ってる……」



もう、ショックで言葉もない。



いつも誰にでも優しくてにこにこしている一ノ宮君。


それが……偽物……



偽物……



って!!



「じゃ、じゃあ!あたしの王子様は!?」



ずっと憧れてた一ノ宮君は!?



「そんなのいるわけないだろ。まだそんなものを夢見てるのかよ」



っ!!


こいつ!今鼻で笑った!!











「お、王子様じゃなかった……」



「少なからず俺ではないな。」



「そ、そんな……」



出会ったときから、好きだったのに……



「そういうことで、今日からよろしくな。未来」



よろしくなんてできない。



一ノ宮君と……いや、この悪魔と家族なんて絶対無理っ!!



「じゃあ、そろそろリビングにでも戻るか」



――ギュっ



立ち上がった一ノ宮君の服の裾を掴んだ。




「なに?」



「……違う」



「え?」



「あたしの好きになった一ノ宮君は違う」



違うもん。



あたしが好きになった一ノ宮君は……






「優しかった……」



「……あのさ、どこで俺と話したか知らないけど俺が優しいのは当たり前。だって表の俺だし」



あたしを見下ろしたまま、一ノ宮君の冷たい声が耳に届いた。



「やっぱり覚えてないんだ……」



「だから……」



一ノ宮君が話す前に立ち上がり、クローゼットからあるものを取り出した。




「それ……」



っ!!


目の前にあるモノえお見たとたんに、一ノ宮君の瞳が少し大きく開いた。



もしかして思い出してくれた!?



あたしが取り出したのは、あの日―……



あたしが一ノ宮君に恋に落ちた時にくれた、青いハンカチ。




あれから返せなくて、洗濯してずっとしまっていた。



「あぁ~そういうこと。それで俺のことを好きになったってことね」



「っ///」




直球なその言葉に、頬が熱くなった。








「あれは別に未来のことを思ってしたんじゃないよ。残念ながらね」



「……え?」



「あの日、俺遅刻しかけてたんだよね。ってか、あのまま行ってたら完全に遅刻になってただろうけど」



あの日のことを思い出すかのように話すその口ぶり。



「それで、その時たまたまあんたを見つけた。それでラッキーって思ってさ」



「ら、ラッキー?」



「そう。未来を助けてたことを話したら、先生たちには悪いイメージを持たせることはないだろ?人助けで学校に遅れたんだから」



「ま、まさか!!」



「そ。おかげであの時は先生に怒られることもなく、逆に人助けをしてたことで周りにもいい印象を与えることができたしな」



「っ!じゃ、じゃあ!」



まさかの真実に、頭の中がクラクラする。



あたしを助けたのは全部、自分が優等生であるため!?



そんな姿にあたしは惚れたの!?




「まぁ、未来も俺のこと好きでいてくれてるみたいだし、今日から仲良くできそうだな」



何が『仲良くできそうだな』よ!!



「……無理」



「は?」



「だから無理って言ったの!」



こんな俺様で、しかもあたしのあの恋も結局自分のためだなんて聞いて、仲良くなんてできるわけがない!



「仲良くなんてありえない!あんたがお兄ちゃん!?そんなの絶対にイヤっ!!」



絶対に!!



「ふぅーん」



「な、なによっ……」



冷めたような瞳であたしを見る一ノ宮君。



「俺を好きだって言ったときは、あんなに可愛かったのにな―……」



か//かわいい///!?




……って!危ない危ない!!



またこいつに騙されるところだった!!