つーか、なにスカートとか穿いてるんだよ。
いつもは休日でもジーンズとかが多いだろ。
足とか出しすぎなんじゃねぇ?
ってか、デートとかで浮かれるなんてバカらしい。
「そうね~。でも残念ね~~」
「祥子、仕方ないよ。未来ちゃんにも用事はあるんだからさ」
父さんが新聞を畳みながら祥子さんをなだめる。
「ごめんなさい、勇吾さん。ちゃんと夜には帰るね」
今でも未来はやっぱり父さんを『勇吾さん』と呼ぶ。
俺も祥子さんだしな……
きっとこれは変わらないと思う。
決して祥子さんを母親として認めてないわけではない。
ただ、今更なんか『母さん』とは呼びにくいしな。
「じゃあ夜まで待ちましょう!それにしても、そんな格好してどこに行くの?」
「えっ!」
「もしかしてデートかしら」
「っ///」
頬がほんのり赤く染まる。
「あら!あらあらあらっ!!」
「もうっ!!お母さんっ!!」
からかうように笑う祥子さんに、未来が怒る。
つーか、未来の態度にもイラつく。
なんで俺のこと好きなクセに、他の男とのデートを嬉しそうにしてるんだよ。
――バサッ
「……え?」
床にバサッと何か落ちる音。
「で、デート?」
音の正体は、今まで父さんが読んでいた新聞。
「未来ちゃんっ!!デートと言うのは本当か!?」
「えっ!?」
今までソファーに座っていた父さんが立ち上がる。
「デートなんてまだ早……」
「勇吾さん。高校生なんだからデートくらい普通よ」
「でもそんなデートなんて……」
「もぉ~!娘が心配だからってそんなこと言ってたら娘に嫌われるわよ?」
「っ……そ、それは……」
父さんは本当に未来を娘のように思っている。
だからこそデートというのは許せないんだろ。
でも、俺の許せない気持ちとは違う。
明らかに……何かが違うだ……
それから祥子さんが父さんを何とかなだめて、未来は家を出て行った。
ずっとリビングに居た俺を、一度も見ることもなく―……
ほ、本当にこれでよかったのかな……?
街中にあるガラスに、自分の映る姿を上から下まで確認する。
スカートなんて久しぶりに穿いた。
可愛いものは好きだけど、なんか昔からジーパンとかズボンの方が着心地いいんだよね……
だから久しぶりに穿いたスカートはとても着心地が悪い。
ひらひらして、しかもなんか足元がスースーする……
制服のスカートとはまた何か違う……
このスカートだって、智香にプレゼントで貰ったもので……
ずっと着ることもなくクローゼットにしまってあった。
や、やっぱりなんか恥ずかしい……
無駄にスカートの裾をグイグイと引っ張る。
な、なんでこんなに短いのよ……
制服でもここまでは短くしないのに~~
これもそれも全て……
「あっ!未来ちゃん発見っ!!」
ニコニコしながら手を振りながら走り寄ってくる……弘也君。
このスカートの元凶。
「おはよ♪」
「あっ、おは……」
「うわっ!今日の恰好かわいいね~」
なんで弘也君が嬉しそうにするの……
「やっぱり未来ちゃんにはスカートが似合うね~。いい脚してるんだからもっと制服のスカートも短くすればいいのに」
「なっ///」
反射的に足を隠すように座り込む。
「えっ!?ちょっ!違うよっ!?そんな目で見たわけでは……」
「そ、そんな目ってどういう……」
「だ、だからエロい目で見てたわけでは……って違う違うっ!!」
手を顔の前でブンブンと振って必死な顔をあたしに向ける。
「とにかく違うからねっ!俺が欲情するのは智香ちゃんだけで、未来ちゃんには全くそう言うことは……」
なんか、それはそれで失礼じゃないか……?
ってか、欲情ってなによ///欲情って!!
親友をそんな目で見るなっ!!
「それよりずっとそこに座っている方が目立つよ」
「あっ……」
足を隠すために座り込んだままだった。
「ほら、行こう」
「う、うん」
そっと立ち上がり、ニッコリ笑う弘也君を見つめる。
「ねぇ、なんでデートなんて言い出したの?」
「え?分からないの?」
わからないよ。
突然デートの申し出なんて。
「決まってるじゃん。玲にヤキモチを妬かせよう作戦だよっ!!」
「いやいやっ!決まってないからっ!!」
何よっ!それっ!!
「一ノ宮君がヤキモチなんて妬くわけないじゃん!!」
「それはどうかな~~」
だからなんで弘也君が楽しそうな顔をしてるの……
「じゃあ、このスカートっていうのは……」
「その作戦の1つだよ!玲は未来ちゃんのその格好見たんだよね?」
「ま、まぁ、朝にちょっとね……」
「うん。それなら大丈夫」
「へ?」
何が大丈夫なの……?
「まぁ、未来ちゃんは何も考えず今日を楽しめばいいよ」
「あの……全く意味がわからないんだけど……」
「いいからいいから」
いやいやっ!よくないから!!
なに一人で納得してるのっ!?
「まずは服でも見に行く?」
「え?」
「せっかくデートするんだから、どこか行こう」
「う、うん……」
何かいい具合に言いくるめられた気がするんだけど……
それから嬉しそうに鼻歌を歌う弘也君に連れられて、最近出来たショッピングセンターに向かった。
うわっ……
人多い……
オープンセールをしているここは祭り並みに盛り上がっている。
「じゃあ端から端まで探索だ―っ!!」
「えぇぇぇっ!?」
は、端から端までって……
どれだけの店舗数がここに入ってると思うのよ―っ!!
あたしの叫びも、全く弘也君の耳には聞こえていないようで、腕を引きずられるまま目の前の店に連れていかれた。
――――――――――――――……
「あ―っ!めちゃくちゃ楽しかったっ!!」
そ、それはそれは……よかったですね……
「あれ?未来ちゃん、なんかやつれてない……?」
今頃その質問ですか……?
あれからあたしたちは本当に端から端までを制覇した。
まぁ、楽しかったよ。
楽しかったけど、やっぱり人が多いのは苦手……