先程なぜ結衣が無防備の状態を気にしたのかと言えば、能力を使うと〔闇夜〕に気ずかれる可能性があるからだ。
ま、下っ端だったら、私ならよゆーに倒せるけど。
中ボスレベルだと、ちょっとキツイけどね。
そんな危険を冒してまで、協力してくれる結衣には感謝だ。
「……どう?結衣。」
「おかしい……。」
結衣の表情は厳しい。
「どうしたの?」
「見えないんです。」
「え……?透視出来ないってこと?」
「はい。」
そう言うと、結衣は妖力を解放するのをやめた。
「めったにないんですけど……私以上の妖力を持っていると、見えないんです。」
「なるほど……」
…と、いうことは安曇は少なくとも妖血or妖怪。
それだけわかっただけでも、十分。
「ありがとう、結衣。それでも安曇は普通の人間じゃないってわかった。」
「いえ…もっと美月さんのお役に立てれば良かったんですが…」
結衣はちょっと眉をひそめ、申し訳なさそうな顔をしている。
そういう謙虚なところが好きなんだけどね。
「十分、十分!ありがとね!!」
私は、屋上を後にした。
向かう場所は決まっている。アイツがいるであろう、教室だ。
…安曇は私が5歳の頃から知っていると言っていた。
結衣の千里眼の結果から、安曇は人間ではない。
と、言うことは……安曇は何者なの?
廊下の窓から見た空は、どんより曇っていた。