私のマンションは割りと良い。

設備も良いし、セキュリティもバッチリだ。

そこに私と妹で住んでいて、父親は仕事でロンドンにいる。

母は4年前に居なくなった。

父は大きな企業に勤めているので、それなりの仕送りをもらっている。


「美月って良い所住んでるな~。」

「無駄口はいらないから。…あがって。」

「「お邪魔します」」

「あっ!お姉ちゃんお帰り。真由美さんは久し振りですね。」


妹の優月(ユヅキ)が出迎えてくれた。

私の妹は中3。

妹ながら、しっかりしている。

今日は臨時休校で朝から家に居る。


「……で、後ろの男の人は?」

「俺は、安曇陵。最近転校してきた。」

「お姉ちゃん、まさか……かれ」

「こいつは彼氏じゃない」


優月が言い終わる前に、否定。

あんなヤツが彼氏なんて……たまったもんじゃない。


「あ~あ、残念。ま、いいや。ごゆっくり♪」


優月はそれだけ言うと、今日の夕飯の買い出しに出かけた。


優月がいなくなったのを確認して、安曇が喋る。


「優月ちゃんも妖血なんだな。」

「一応ね。今だに力は覚醒してないけど。」


妖血であっても、妖力自体は覚醒しないと使えない。

私は中2で覚醒したが、優月はまだ。

……まぁ、妖力が覚醒してなければ、闇
夜に気付かれる事はまずない。

安全と言えば、安全だ。


「……で、安曇。本題は?」


そう。
家に来たのはその為だ。


…今日だけで2回も「話がある」ってどんなだ。


「単刀直入で言うぞ。」


…この台詞も2回目な気がする。


「この町に何か入り込んだ。」

「入り込んだ?……なにそれ。」

「……得体のしれない何かだよ。」