教室に戻ると、みんな何事もなかったように振る舞っていた。

別に何も変わってないようだ。


『美月~どこいってたの?安曇くんと。』

『なに話したの?安曇くんと』


……くそっ!

変なことは覚えてた!

“安曇くんと”を妙に強調してきやがる……!


私は、安曇を物凄い勢いで睨み付ける。

それもお構いなしに、安曇はのぺ~とした笑顔を向ける。


結局、みんなの前ではいつもの安曇だ。

私達だけの時に見せた、凛々しい姿はなかった。

……凛々しいは間違っているな。

ちょっとまともに見れた。


それが、今は別人なのだから、不思議なものだ。


「おーい。お前らうるさいぞー静かにしろー」


担任の一言で、みんなは席につく。


いいタイミングに戻ってきたな~。

……相変わらず、何かムカつくけど。

でも、なんでこんな時間に教室に?


「いいか~今日は寄り道しないで早く帰るんだぞ~」


……あれ?

まだ、お昼終わったばかり……だよ?

慌てて、真由美に聞く。


「今日って午前授業だった?」

「ううん。6時限だよ……どうなってるの?」

「こっちが聞きたいぐらいだよ……」


いや、まて。

1つ思い当たる事がある。

……闇夜の術を解いてる時に安曇は記憶操作をしたのかもしれない。

そう思って、安曇を見るとアイツはピースをした。


さては…授業が面倒くさくなったな。

ま、サボりたいのは私もだけど。


そんなわけで、今日は13時で下校となった。