~昼休み・美月の教室~
あれから丸一日たった。
安曇は変わらず人気者だし、昨日の出来事がまるでなかったように振る舞っている
そう。
あの、掴みどころのない笑顔で「美月ちゃん」と呼んでくる。
たまったもんじゃない。
「美月ちゃん~!」
ほら。
また安曇が寄ってきた。何回目?
10回なんてくだらない。
事あるたんびに、呼んでたし。
「何?安曇くん。」
あえて君付けして呼ぶ。
「酷いな。そんなによそよしくすんなよ!」
なんか、ムカつくな。
私は、横目で安曇をだるそうに見て、言った。
「じゃあ、何?安曇。」
ちょっと安曇は残念そうにしたが、話を続けた。
「まぁいいや。それより、屋上ってどこから行くんだ?」
私は、ぎょっとする。
急に馴れ馴れしすぎるでしょ⁈
私はまだ安曇の事まだよく知らないのに!
しかも今、このタイミングで安曇を屋上に連れて行くなんて……
絶対ムリ!
変な噂が立つのが目に見えてるし!
「パス!第一、聞くのは私じゃなくったっていいでしょ?」
そう言って、私は安曇から目を反らす。
すると、安曇は私の耳元でささやいた。
「バカだな、屋上ぐらい行ける。話があるだけだ。」
「……またくだらない話だったら承知しないからね。」
私は席を立ち上がり、安曇と共に屋上に向かった。