あの日、うちは空を見上げて先の事を考える余裕なんてなかった。今の状況がギリギリやったから‥どおしたらええんやろ、なんて考えてた気がする。

高校を卒業したばかりやったけど、進学する事も就職する事もせえへんかった。それよりも、ただ家を出る事だけ考えてたんや。

こんな家で過ごす位なら、路頭に迷っても構わへん‥そんな想いを抱えててん。

どこで間違えたんやろ、うちは誰も答えてくれへん疑問に悩まされてた。

そんな事を考えながら大阪ミナミの町を歩いとった。フラフラと歩いてた時、スーツ姿の若い男が声をかけてきてん。

これが‥

うちにとって運命の出会いやった。そして、全ての始まりの日やったんや。