『私服マネしないでくれない?』
『自分カラコン変だよ?』
『それ付き合ってるんじゃなくて完璧に遊ばれてるんだと思うけど?』
事実であっても、率直な感想であっても、
そんなキツイこと、周りに気を遣える優秀女子は言えない。
内心あんまり好きくない子にさえ、匿名が武器の逆恨みが怖いご時世、穏便に済ませたいから言わないでいる。
また、いくら正論だとしてもいくらこちらに非がない発言だとしても、
最近は受けとる側の感性が斬新すぎて、意味がネジ曲がって伝わってしまったり、
単なる幼さだったり逆ギレだったり、
含みに気づかず言葉のままを汲み取られたりで、
あらゆる物事は、きちんと相手を見極めないと、なぜかこちらが損をする確率が高い点も大きく影響していた。
当然、学校で一緒に居る仲良しメンバー相手にも、親しいはずがやっぱり我慢しちゃう。
『ずっと思ってたけど、ナントカちゃんって誰かの悪口しか話さないよね。自分のが性格悪くない?』
『ギャルのつもりかもだけど、全然ギャルじゃないよ? てか今時ギャルとか見ないから』
本音も伝えられない関係は、女友達と呼べないのかな?
こんなだから大人たちに鼻で笑われるのかな?
友情、絆、信頼、この辺りのフレーズは卒業した人たちに敏感に否定される理由を、
どうして学校で教えてもらえないんだろう。
とある現役生徒にとっては不思議だった。
ところで、
仲間を信じて皆に愛され、時には悪に騙されるけど、
どんな困難だって一生懸命立ち向かう物語のヒロインに抜擢されがちな素直な少女が、
普通の世界には数少ない、いいや居ないに等しい現実を、
夢と希望、可能性に満ちた子供たちに死んでも教えてはならない。
童話の中でぐらい女子高生ライフはキラキラめでたしめでたしって読みきかせしてあげよう。
偽りオッケーご都合主義な伝記でこそリアルでしょう?