「ヒロって、ちょっとあきに似てるね。口癖とか」
私がそう言うと、ヒロは少しくすぐったそうに笑った。
「高校のときから、結構一緒にいること多かったしな。気づかないところでうつってるかも」
「でも、だからかもしれないけど、ヒロと話してると落ち着く」
それは、本心だった。
ちょっと違うのは、子供っぽい雰囲気を持っていたあきとは違って、ヒロは落ち着いた大人っぽい雰囲気を持っているところ。
ヒロの雰囲気が、私のことも落ち着かせてくれるのかもしれない。
「……参ったな」
「え?」
突然困ったような顔をしたヒロに、私は首をかしげた。だけど、ヒロは首を横に振って、
「なんでもない。もう暗いからさ、送っていくよ」
そう言って立ち上がった。
「え、でも……」
送ってもらうのは、ちょっと悪いと躊躇っている私を、ヒロが手を引いて立たせた。
「こういうときは、遠慮しない。真子さんに何かあったら、俺、タキに呪い殺される」
「ふふっ」
ヒロは、いちいち言い方がおもしろくて、私は自然と笑顔になる。その私の顔を覗き込んだヒロが、満足げにうんとうなずいた。
「やっぱり、真子さんは笑顔が良い。さ、行こう」
「ありがとう」
ヒロにアパートまで送ってもらって、私達はそこで別れた。